DreamCraft Staff: 2002年12月アーカイブ

 

 


■ デジタルビデオデータを利用するためのハードディスク

ビデオの記録をデジタルで管理するとき、D1、D2、SX、Digital-βCAM、DVCAM、DVCPROなどのテープで収録し保管するケースが多いだろう。
完パケでも、テープ保管は、コストパフォーマンスの面でも、現在考えられる最良の方法だろう。近年のアーカイブでのデータ保管ストレージも、価格的にテープの媒体量/単価を下回るまでにいたっていない。しかし、利便性を考えたときには、サーバーは圧倒的に有効だ。
使用頻度をある程度以上見込めるデータはハードディスクに入れたままにしておきたいものだ。
近年の圧縮技術をもってしてもHD編集を意識した素材環境に要求する仕様は厳しい。
大容量になればなるほどバックアップも時間がかかるし、保存と保存のインターバルでの空白期間に、ピンポイントで狙いをつけたようにトラブルは発生するものだ。
基本的に覚悟しておかなくてはいけないことだが、コンピュータ関連機器は、時間の問題で、必ず壊れる。
この壊れたときの被害を最小限にするためのコストが、逆に被害額を上回らないようにするコストバランスが必要なのだ。

●ディスクRaidはドライブの故障からデータを守る。

一方、OSに依存しないで複数のハードディスクを一ボリュームとして認識させるRaid機能を持つ製品は、ハードRaidシステムとして存在する。従来サーバー用途などのマルチユーザーアクセス、ノンストップ利用を前提としたシステムが多く、大容量データ保管、連続大データ転送を要求されるビデオ編集にはセッティングが合わなかったり、ハードRaidは価格が高かったりで、なかなか手が届かなかったのが実際のところだろう。
しかし、データを守るという点では、OSに依存しない独立したプロセッサー(ディスクコントローラ)を有するハードRaidは、単体ディスクは壊れることを前提にした場合、必須とも言えるシステムだ。これは、ディスクをフォーマットしなおしてから、再びビデオテープからのキャプチャを行う手間との価格バランスになってくる。

● 安価な大容量ハードRaidシステム

ノンリニアシステムの初期のころから筆者が気になっていたメーカーがあった。
当時はIDEのRaidでは不安定で、コマ落ちの心配があったので、よほどの圧縮映像に限定した仕様以外は使ってこなかったが、名前からしてビデオ編集に特化したハードRaidの製品を発表してきた「medea」社だ。独特のディスクコントロール手法をもって、IDEの欠点であったOSへのオーバーヘッドを回避し、ハードディスクの内周と外周のスピード差も複数ディスクでバランスする仕組みを提供している。この結果、ビデオ編集に最適な、安定した大容量転送を安価なIDEディスクで可能にしているのだ。実際にVideoRaid RTRはデータ保護性のないハードディスクを筐体に収容しただけのストレージと価格面で競争している。
近年「VideoRaid RTR」を発表し、高性能をアピールし、シングルユニットでAJA, Avid, Digital Voodoo and Pinnacleなどの非圧縮リアルタイムにオフシャル対応。他にもDPSなど多くのノンリニア機器メーカーの認証を獲得している。
さらに2台のRTRをデュアルチャネルSCSIホストアダプタに接続することで1080i HDノンリニア編集システムにも対応している。
新社屋に移るテレビ朝日本社のHDシステムに20セット以上の納入が決まったのも信頼が裏づけされた結果だろう。

●めったにできない実験。動作中のドライブ交換。

従来高価だったRaid3のコントロールを可能にしたVideoRaid RTRを、実施に使用してみた。
もちろん、パフォーマンスでは問題ない。
試しに、ビデオを再生中に任意のディスクを引き抜いてみた。(実際の仕事では怖くて試せない)
理屈ではわかっていても動き続ける姿に感心してしまう
VideoRaid RTRは、データの消失やパフォーマンスの低下も無く、何事もなかったかのように動作しつづける。再度挿入すると、自動的にリビルドが開始する。まったく手間がかからないのだ。
ちなみに、通常のRaid製品は、ドライブ故障時に50%以上も転送速度が低下することが多いので、実際はりビルトが完了しないと作業には使えないことが多い。
導入しやすい安価なシステムには感じられないほど、運用中の安心感は絶大なものがある。
ノンリニア編集で溜まってきた、使い回しの多い貴重なデータに悩んでいる方は、早めに安心を手に入れることをお勧めしたい。
作りこんだデータは、思った以上に貴重なものが多いのだから。

ブロードバンドの恩恵の一つが、この不景気な時代にも関わらず、公共予算が組まれる点かもしれない。総務省は2003年夏の情報技術(IT)戦略改定をにらみ、家庭や企業のIT利用を促す行動計画を作成した。テレビ受像機をインターネット等の情報端末として活用する等、重点5項目を2005年までに普及、技術開発の数値目標を設ける等、テレビをネットワークで利用するような環境整備に前向きだ。重点項目は1:デジタル対応テレビの情報端末化の推進、2:場所を選ばずに小型端末でインターネットやデジタル放送などを利用できる「ユビキタスネットワーク」構築、3:大容量通信向けコンテンツの充実と普及、4:在庫管理や電子商取り引きなどの企業間IT活用促進、5:アジアでの大容量通信の普及。となっている。
すでに自治体レベルの幹線には高速の光ネットワークが住民の意識する以前に配備されている。
ネットワークでHD映像を伝送する事が可能な現在、放送事業免許を必要としないブロードバンド映像配信は新しい映像ビジネスとしての可能性を見せ始めている。

さて、映像を商品と考えた場合、なにより課金に耐える品質を提供する事が求められる。
レンタルビデオより手軽で高画質を目標にしなくては成功はおぼつかない。
しかも取扱いがコンピュータの操作を求められる製品では一気に普及させることは難しい。
ここで簡単操作の可能なセットトップボックスの必要感が高くなってくるのだ。
従来でも、ケーブルテレビやCS、BSなどの衛星放送用にテレビジョンの受信チューナーとして多く出回っているが、このたびブロードバンド用のイーサネット端末としてOEM提供されるベースのデコーダー製品が発表されたので紹介しよう。

日本のオープンソースを推進してきた「ぷらっとホーム株式会社」は、Linuxサーバー等の普及で多くの実績を持っている。今回はBTbox(ブロードバンドターミナル)としてPCC-1000を、完全子会社の「プラット・コミュニケーションコンポーネンツ株式会社(www.platc2.co.jp)」から発売する。
このPCC-1000は、通信事業者や映像コンテンツ配信事業者向けに開発キットと共に販売され、普及にあたっては、開発ベンダーに対してOEMでの提供が可能なので、事業者が自分のビジネスモデルに合わせて自社仕様端末を開発する事ができる。

コンパクトにまとまったケースを分解してみよう。
直径14cmの丸い匡体にこだわったデザインの為か、基盤は2段重ねの構成だ。熱問題もかなり意識しているようで、放熱の為に大きなアルミプレートがプロセッサーを被っている。ファン等の稼動部品が無いため、無音の稼動が行える。これは家庭内への導入には絶対に必要な事だ。


映像はMPEG-2再生を独自のソフトと内蔵デコーダーLSIが高品質に実行する。
このLSIのポテンシャルはNTSCには勿体無い程のパワーを持っている。HD対応も不可能では無いクロック数で運用可能だ。
現在ではデジタルハイビジョン品質を目指した数少ないネットワーク製品と言えよう。

また、スマートカードの他、コンパクトフラッシュカードをストレージとして内蔵する事で、メール等の保存や決済履歴等の保存を可能にしている。
インターフェースを見てみよう。D-Sub 15pinの映像インターフェースはアナログRGBの他、家庭用D3/D4デジタル出力がケーブルを付け替えるだけで可能だ。さらにアナログコンポーネント信号としてS端子も用意されている。
オーディオもアナログミニピンの他、SPDIFによる光モジュラを実装している。
品質にこだわるホームシアターに向けたAV機器対応と言えるだろう。
リモコンによるコントロールは、家電の扱いやすさをそのまま残して、ネットワーク機器としてのアドバンテージを追求出来る所がうれしい設計だ。
背面にUSBポートを持ち、様々な周辺機器とも簡単に接続を計画する事ができる仕様となっている。
10BASE-T/100BASE-TXのRJ45コネクタを有するネットワーク機器としては、ぷらっとホーム社得意のLinux実装の小型サーバーとして既存のプログラムテクニックを生かせる。
HTML 3.2/4.0に対応、認証、セキュリティにはSSL(2/3)、TSL、HTTPSが実装される。
表示プラグインとしてFlashを実装、画像はPNG、GIF、JPG、BMP、WBMPにも対応出来る。
開発のAPIとしても専用ウェブブラウザ?、専用簡易メールクライアント、専用メディアプレーヤー、専用ランチャーなどの環境が用意されて、クロス開発環境に必要なドライバ、ライブラリが豊富に提供される。丁寧なAPIマニュアルも用意されると言う。

もちろん、この端末だけで映像配信、全てが実現出来る訳では無く、サーバーやエンコーダー等の映像配信システム、認証や課金等のビジネスコンポーネント。そして、なによりビジネスパートナーの営業が必須の製品だ。それだけに異業種との供業や、あたらしいビジネスモデルを持った会社設立の可能性を秘めている。

すでにMPEG-2配信ではビデオウォールの運用、店鋪内映像の配信や、コンビニ映像端末、POSレジ映像端末等の事例があるが、PCC-1000は、今後もターゲットを決め、閉粋へむけた囲い込みのブロードバンド利用や、企業内での映像利用のシステムとしてますます期待されるツールだ。

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