国際放送機器展: 2002年4月アーカイブ

 

2002年3月21-23日に北京国際展示場(China International Exhibition Center,Beijing)でCCBN(http://www.ccbn.com.cn)が開催された。


近年の中国はものすごい勢いで変化している。共産圏のイメージを感じさせない都市部の変貌は驚きの連続だ。
天安門スクエアーに程近いショッピングモールは、アメリカ西海岸のモールと見間違えるような大規模で洗練されたブランドショップが勢ぞろいしている。
海外ブランドの中で、中国の製造工場としての確固たる位置づけと、近い将来の大規模市場出現に向けて投資を続ける大手ブランドのマーケティング戦略に利害が一致した好例だろう。
WTO加盟を目前にして、映像とネットワークの世界は中国でどのように受け入れられているのだろうか。そんな疑問を持った筆者はCCBNの取材に出かけた。

バスとタクシーが走る流れに、自転車が縦横無尽に駆け抜けていく、中国独特の風景の先に目指す会場があった。
「アジアで最大の放送とネットワークの博覧会」と中国風に横断幕がはられている会場へ入ると、おなじみの放送機器メーカーに混じって、漢字表記のみのアドボードが新鮮に目に飛び込んでくる。

サブタイトルで「BROADBAND & DTV ASIA 2002」と銘打たれた会場は大きく4つのゾーンに分けられていた。
国際放送機器、国内放送機器、通信機器、ケーブルテレビである。

国際放送機器とはNABやInterBeeでお馴染みの放送機器メーカーが並ぶ。日本からも実績のあるSONYやPanasonic,JVCなどが大きなブースを構えていた。
もちろん多くの日本メーカーは将来を見据えてHD機器の展示を行なっている。
それでは中でも特徴的な展示を紹介しよう。

JVC(日本ビクター) D9などの高品質システムより、ネットワークカメラで、先に日本で紹介された「Streamcoder」を前面に大きく展示していた。


手探りの状態ながら、ネットワークへの展開がポイントとして捕らえられている。これは中国の高速ネットワークインフラが思いのほか早く整いつつあるからだろう。これについては機会をみて詳しく検証したいと思う。

SONY 何時もの放送機器以外に、コンセプト展示としてホームネットワークを提案していた。日本では見たことのないホームビデオサーバー(セットトップボックスとは違うTCP/IP対応型)を中心にVAIOなどのパーソナルコンピュータやエアボードなどのペリフェラルを従えて映像コンテンツのストリーミングサーバーとしての機能を強調していた。ここでも、放送電波以外に映像コンテンツをネットワークで配信するための方法を用意して提案している。

Panasonic 手堅くDVCPRO-50を前面に、そしてHDの高品質も強調した展示を行っていた。まだまだHDはフラッグシップだが、多くのDVCPRO-50をすでに導入実績がある同社では積極的な営業を上位プロダクションへ仕掛けているようだ。
ちなみに知人の勤める中国の人気ニュース番組を制作する某スタジオには、SONY Digital/BETACAM BETACAM/SX などの一体型カメラに続き同社のDVCPRO-50を数台配置されていた。その結果DVCPRO-50同士のストレート編集システム複数台の導入が決定したそうだ。

Canopus 先にNHKと共同開発を行ったエディットワークステーションの展示を精力的に行って人気を博していた。ノンリニアシステムの弱点であるキャプチャー作業を、編集の流れとして利用した方式は、先にGVGが提案していたニュース編集で大変有効な方法だ。特にメーカーのターンキーとして提案するところの安心感は大きなものがある。日本では放送機器として認知されにくい同社だが、中国市場では評価が違うようだ。

大洋 純粋の中国メーカーである同社はPINNACLE社などのボードを利用した専用ハードシステム「X-Edit」を中心にノンリニアソリューションを用意している。


専用ケースのデザインもがっちりとして安心感がある。


この編集ソフトは、各社いいとこ取りをしたような、どこかで見たような感じのする機能が満載だ。
SONYのMPEG-IMXの仕様に準拠した製品開発を契約している中国メーカーとしては、次に紹介するSOBEYと同社だけである。さらに中国語のキャラクタージェネレーターでは圧倒的なシュアを有している。

SOBEY 中国メーカーとして勢力を大洋と2分する同社は、ハード志向の大洋とは対照的にソフト重視でシステムをまとめ上げている。


SONY MPEG-IMX対応のニュースプロダクションシステムでは、サーバークライアントのハードをDELL社のパソコンで固め、ソフトで見事なネットワークコラボレーションシステムを提案していた。


それは、MPEG-2 (MPEG-IMX)と同時にMPEG-4(WindowsMedia)もサーバーに取り込み、ネットワークを通じてソフトオンリーのMPEG-4での複数同時編集システムを提案している。もちろん過去の素材や、ライブラリへのアクセスも容易だ。


つまり、放送素材としてMPEG-IMXと、ハンドリングの楽なMPEG-4を同期させて、編集が終わったMPEG-4タイムラインの情報どおりMPEG-IMXで再生(放送送出)を可能にしているのだ。このあたりは日本の放送技術者が見たら怒り出すような発想かもしれないが、コストパフォーマンスに優れ、近い将来日本でも実現可能なシステムだと思う。同社のシステムに興味のある方は弊社までお問い合わせいただきたい。

最後に残された巨大マーケットと言われる中国。そこへの売り込みに必死のメーカー各社が世界中から集まり、しのぎを削っているCCBN。

中国市場を考える上で、中国と日本の行政の違いを理解しておく必要があるだろう。
日本ではご存知のように、放送と通信は異なる役所で縄張り争いをしている。
しかし、中国は一元化された管理体制の中で、あまり隔たりのない市場と考えていたほうがよい。それよりも中央へのコネと、上位組織への導入実績が影響する市場と考えたほうがよいのだ。
共産主義では差別化を美徳としない教育をうけているので、先人と同じであることの説得力は何よりも大きい。つまり、トップの放送局の導入決定機種は、そのまま中国各地の奨励機種につながるからだ。
さらに、中国国内のネットワークは、海外とのインターネットとは違い、高速で高機能なCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)がすでに導入されている。(3月号で筆者が紹介したInktomiなど)純粋なネットワークプロバイダーではなく、CATV網を利用したFTTHが試験的に都市部を網羅しはじめている。安価なメディアコンバーターの出現などで急速に接続距離を伸ばしているのだ。

最後に、北京のインターネットカフェから弊社の動画サービスのサイトへ接続してみたが、快適なビデオを受け取ることができたことを報告しておこう。まるで隣のビルにでもいるような錯覚さえ覚えるほどの映像が大画面で飛び出してきたのには正直仰天した。日本国内よりも中国からの接続が快適ですらあることに、「恐ろしいものを見てしまった」気がしたのは、同行したスタッフの共通する感覚だった。

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