ストリーミングビデオ: 2000年9月アーカイブ

 

今月はストリーミングビデオの少し変わったスタイルを紹介しよう。

先だってNABのベンチャーとして紹介したSightPath 社を覚えているだろうか。

(http://www.sightpath.com)

すぐれた映像配信技術を発表していた同社は今年5月17日にシスコシステムズ社に買収されている。そして、今年の末には日本の1号ユーザーが誕生しそうな状態だ。

実は同年の2月に、日本ではイメージワン社がサイトパスの販売契約を結んでいたのだ。

今日のインターネットプロパイダビジネスはコンテンツ配信の大きな転機を迎えている。そのインフラとなるハイエンドルーターなどの製品を圧倒的なシュアで提供しているのがシスコシステムズ社なのだ。

今回の買収によってシスコシステムズ社のビデオ配信システムの戦略は、ISP(インターネットサービスプロバイダー)からのキャッシュサービスへとフォーカスされてきた。

キャッシュシステムの考え方は、実はデジタル放送のセットトップボックスを利用した蓄積型ペイパービュービジネスに影響を与えるものだ。

フルフレーム、フル画面で再生できるサイトパス社のネットワークビデオ。

簡単にオンデマンドの仕組みを考えてみよう。

ハードディスクを装着して番組を記録出来るようになったセットトップボックスに、ユーザーからリクエスト申込のあった番組を事前にダウンロードしキャッシュしておく。この場合、ユーザーのビデオテープ録画と違って再生の情報は発信側のコントロール下におかれる。ここで視聴される映像はハードディスクからの再生で、同時間に放送されている映像ではない。つまり、データーの輸送手段は地上波であるか衛星であるかなどはユーザーにとって関係のない仕組みなのだ。

ここで、サイトパスの仕組みを見てみよう。

従来のインターネットストリームビデオは、峡帯域で送信するがゆえに、小さな画面 、コマ落ちしたみじめな映像との評価が一般的だ。しかし、ノンリニアビデオ編集が盛んになった今、コンピュータがビデオ映像を再生するツールとして、その能力を十分に持つに至った事実を忘れてはいけない。回線スピードの稼げるLANでは、DVDの再生レートに迫る転送量 は十分に確保出来る。つまり、インターネットを介してでも、一度LANの中に有るキャッシュサーバーに映像のデータを送り込めれば、その再生はテレビモニターでも出力可能な放送品質を確保出来ることになる理屈だ。

実際の機能をNABで取材した資料をもとにひも解いてみたい。

基本はスタジオサーバーからのプッシュコントロールでエリアキャッシュサーバーへ映像データをコピー転送するシステムだ。

ここでスタジオサーバーから送られるデータは複数のエリアキャッシュサーバーへSODA(Self organizing distributed appliances)と呼ばれる独自のテクノロジーで効率良く転送される。

新しい転送技術SODA(Self organizing distributed appliances)

例えばあるメーカーの本社宣伝部が制作した商品カタログビデオを、地方にある、いや、世界中に有る販売会社へ配信するケースでは、販社ごとに異なる商品を扱う場合が有るので、それぞれに対応したプログラムを設定出来るのは重要な機能だ。

スタジオサーバーでは事前のリクエストや、扱い商品などで決まった送り先毎の組み合わせでデータの送信を開始する。このスピードは回線スピードに比例するが、リアルタイムの映像転送ではないのがこのシステムの特徴だ。

速い回線なら短時間で転送は終わるが、遅い回線でも時間をかけて転送することができる。拠点が多くなってもSODAのおかげでコピーに関わる全体時間は大きく増えることはない。インターネットを利用すれば世界規模の映像ネットワークが一企業の宣伝予算で可能なのだ。学習塾でも授業ビデオを世界中の日本人学校へ送ることが可能なのだ。

映像情報の転送概念

しかも、端末のエリアキャッシュサーバーにデコーダーボードを設置すれば、NTSC出力がえられるので、従来の映像システムとの融合も簡単だ。

企業内の放送システムや、学校内の放送システム、店鋪のビデオディスプレイ等に直接ビデオプログラムを送出することもできるのだ。

ビジネスコンテンツプロバイダーの仕組み

先日、元サイトパス社で、現在シスコシステムズのサイトパス担当マネージャーGeorge Harlem氏にお目にかかる機会があったので、そのインタビューの模様をお伝えしよう。

 

尾上<始めにシスコシステムズ社のマーケティングについて聞かせて下さい>

Harlem<お気づきのように、シスコはサイトパスを買収しました。

新たに立ち上がったシスコシステムズはインターネット業界において、

コンテント デリバリー ネットワーク技術を広める担い手となるでしょう。

シスコシステムはインターネット業界とネットワークサービス業界においてインフラを構築するリーダーとして知られてきました。

企業でインターネット技術が普及するにつれ、情報がより複雑になり、広範囲な地域やネットワークにおいてビデオやストリーミング オーディオ、オフィスファイルなどのような、よりリッチメディアコンテンツが使われ始めています。>

尾上<具体的にはどのような物が求められているのでしょうか>

Harlem<アメリカの多くの企業は、従業員や顧客、ビジネスパートナーに対する企業メッセージを上手く伝えたいにもかかわらず、伝えきれていないと感じてきました。ですから、ビデオのように非常にインパクトの強いコミュニケーション手段に関心が高いわけです。

しかし、ビデオが代表するように、多くの情報量をかかえるファイルはネットワーク管理に多大な支障をだす恐れがあります。

サイトパス独自の技術により、新たにコストをかけずに、オンライントレーニングやインターネット教育や様々なインターネットビジネスの為にTVのように高品位 なビデオを直接デスクトップPCやNTSCモニターへ表示、配信する事が出来ます。>

尾上<そこでサイトパスに目をつけられたのですね>

Harlem<昨年、シスコは多くの法人顧客がネットワーク分野にものすごい勢いで参入しているのを目の当たりにしました。 シスコがサイトパスの技術を理解し、この分野において他の競合者より優位 であると考え、技術や会社だけではなく、コンテントネットワーク分野においてさらなる社内対応を強化・拡張していく為にもサイトパスの人材も吸収しました。>

尾上<日本での展開はどうですか>

Harlem<日本は世界第二位の情報技術力があり、NTTのimodeなどの携帯機器を使ってインターネットへアクセスする人が非常に多いのが特徴的です。

インターネットがものすごい勢いで普及するにつれて利用者はよりリッチコンテントを要求するようになります。 日本は我々のコンテントデリバリーネットワークの技術を展開していく非常に面 白いマーケットになると考えております。

現在、シスコではコンテントネットワーク技術を多くの営業担当者や技術者に教育するために世界規模の社内研修プログラムを進めております。

もうすぐ、コンテントデリバリーネットワークを幅広い範囲で設計・展開し企業顧客とサービスプロバイダー顧客の双方の要求を満たすことが出来るようになると思います。>

尾上<どうもありがとうございました。>

George Harlem

International Area Manager

Content Delivery Solution Sales

Content Services Business Unit

Cisco Systems, Inc.

:インタビュー

 

年末にはプロバイダーの基幹システムとして、また、ケーブルインターネットを開始しているCATV放送局などに向けて営業を開始するだろう。

全国に大手企業の社内教育システムなどのビデオインフラには最適だ。

また、小売店舗を多く持つ全国組織のビデオPOPなどの運用にも大きな力になろう。

さらに自動車教習所などのビデオ講習などにもスケジュールを先取りして配信しておけば最新の映像を全国で応用できる。

いよいよインターネットで商用映像を配信できるインフラが登場してくる。

来年のブロードバンド化に向かって映像コンテンツのビジネススタイルは大きく変わり始めているのだ。

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