ノンリニア編集: 2002年11月アーカイブ

 

ノンリニア編集の製品群がDVをソフトオンリーで稼動する安価なバージョンに人気を集めている。その中で投入されるハイパワーのバージョンにdpsVelocity-Qがあった。
昨年、放送機器メーカー大手のLEITCH社に買収されたdpsは、豊富な開発資金を得て一気に高性能化を実現したようだ。Velocity-Qは、新設計のQuattrusというボードにより4ストリームと、6グラフィックの同時再生を可能にしている。しかもビデオ信号にAlpha Channelを同時に含むことができるのだ。
Quattrusを採用したdpsVelocity-Qは、4ch 3D DVEをリアルタイムで実現してくれる。
今回大幅に機能強化されたVelocityのバージョン8と合わせて、dpsVelocity-Qのレポートを、InterBEE直前に日本に届けられた貴重なQuattrusをお借りしてお届けしたい。

早速試用してみよう。売り物は4ch 3D DVEだ。これが実にパワフル!
DVEといえば10年ほど前のアナログ編集室に1chのDVEが導入されて、ワイプしかできなかった画面効果に、画期的な演出手法がもたらされた。しかし、1chの悲しさで、多くのやりくりをへて多面合成などを行っていたものだ。ほどなく多チャンネルDVEが導入されると、1chしかDVEの無い編集室はまったく利用しなくなった覚えがある。
今回のdpsVelocity-Qの印象はまさしく、1ch DVEのノンリニアへ戻りたくないという気持ちを強くさせる衝撃的なものだった。

 

プロモーションビデオなどで利用するケースが多い、2画面のピクチャーインピクチャーなどの比較映像をリアルタイムで実現したり、キューブ表現をリアルタイムで実現したり、画面の4分割演出をリアルタイムで実現するなど、従来ではレンダリングを覚悟していた作業だけに、あっけない完成がうれしい限りだ。
面白いのが、4CHを超えたDVEの処理の仕方だ。
例えば8トラックのクリップへDVE処理を施した場合、当然リアルタイムでは再生できない。
ここでレンダリングをさせると、従来だと1フレームごと画面を計算して相当の計算時間を覚悟しなくてはならないが、dpsVelocity-Qでは、まったく違ったアプローチで処理を行うのだ。
はじめにリアルタイムの限界である4トラック分のDVE処理を実時間分で行う。次に残りの4トラック分を同じく実時間分で行うのだ。つまり、2回の再生時間で8トラック分のレンダリングが終了してしまうのだ。

dpsVelocity-Qの特徴は、そのパワフルさにあるが、バァージョン8になったVelocityの新機能もあわせて注目してみたい。
ソースコードから見直されたVelocityは、まさに痒いところへ手が届くような進歩をしている。


目に付く大きな変更点はマルチタイムラインの導入だ。他のソフトで多く可能な機能なので、待ちわびていた感があるが、複数のタイムライン、複数の素材Galleryをタブで切り替えるだけで持つことができる。これによって他のタイムラインと比較しながら作業を行うことができる。クリップやエフェクトの情報など、複数の要素をまとめてコピー&ペーストで移動することもできる。これは便利だ。また、バッチキャプチャーで任意のGalleryへクリップを振り分けることを設定することもできる。これによってカテゴリー別に分けたり、シーン別に集めたりしやすくなった。

新機能として「Multicamera Editor」マルチカメラエディットの実装だ。同じタイムコード素材を複数タイムラインに並べて同時に再生させ、スイッチで切り替えるように編集をリアルタイムに進めていくことができる。もちろんコマ送りをしながら切り替えポイントを微調整することも可能だ。標準のdpsVelocityでは2ストリーム。dpsVelocity-Qでは4ストリーム同時に実行できる。


あわせて便利な機能としてショートカットキーのカスタマイズができるようになった。
先のマルチカメラの切り替えでも、使いやすいキーを割り当てられるので、迅速な操作が可能だ。

タイムライン関連の大幅な改善で、編集時の現在地点把握や、範囲変更などが簡単になるなど、使いやすさは増している。
複数のタイムライントラックの幅をショートカットキーで自由に変更できるようになったので、省スペースで表示したり拡大したりすることも自在だ。頻繁に使用しないトラックを非表示にすることもできるようになり、作業時の誤操作を防ぎやすくなった。

希望が多かったトラックのミュート、ソロの設定も可能になり、さらにロック機能も追加されて実際の編集作業をよりやすくしている。

また、従来のV1トラック、トランジション、V2トラックで運用するA/Bロール編集の加えて、すべてを同一トラックに配置するシングルトラック編集のインターフェースも追加された。
これは、つながるクリップを重ねるように配置して流れるように編集を続けることができる。

さらにうれしい機能が追加された。V1トラック、V2トラックのクリップ入れ替え機能だ。
編集を進めていくと、クリップの追加などでA/Bの連続が崩れる場合が、ままあるものだ。
片側に連続してトランジションがかけられなくなった場合など、残りのクリップをA/B入れ替えることで編集を続行できるようになる。

同時に複数トラックの複数クリップに対してエフェクトをかけたり、まとめてカットしたりできるようになった点も評価したい。

エフェクトのキーフレーム設定でも、%単位の調整に加えて、フレーム単位の調整も出来るようになっている。

オーディオトラック表示も、従来ステレオ4トラック表示が標準であったが、モノラル8トラック表示に変更され、トラック毎にパニングなどの設定が容易になった。
オーディオの波形表示スピードも改善されたし、トリムウィンドウ内で波形表示がされるようになったので、細かな編集が容易に行えるようになった。


加えてプレイバック中にVUメーター横にあるフェーダーを直接操作することで、リアルタイムに操作を記録することが出来るようになった。

今回の試用には4ストリームを十分に送りださえるストレージとしてMedea社の新製品VideoRaid RTRをお借りしたが、5ドライブのRaid3仕様で快適なパフォーマンスを示してくれた。

大幅な進歩を遂げて登場したdpsVelocity8、そして強力なQuattrusボードのマルチDVEパワーは、新しい時代に入ったノンリニアシステムの姿を象徴しているようだ。

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