ノンリニア編集: 1998年9月アーカイブ

 

NITRO(GenieRT) + DV/1394

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1998-09-30


8月号に引き続き、WindowsNT上でAdobe社のPremiereを利用しながらレンダリング不要のリアルタイムビデオ編集が行なえる「ReelTime」のバージョンアップをレポートする。

今回は3次元DVEさえもリアルタイムでこなしてしまうスーパーエフェクトボード「GenieRT」と、待望のDV入出力関係を紹介しよう。さらに新しいバージョンのドライバーが可能にする快適な映像環境もお伝えする。

ちなみに、執筆時に最新のバージョンは1.5.1である。

残念ながらPremiere5.0に有効なバージョンである2.0が届いていなかったので、こちらのレポートは次回までお預けとなることをお詫びします。

<インストールするマシンのチューンアップ>

今回は3次元DVEのシステムになるため、+128MBのメモリー増設を行った。今まで192MBだったメモリー空間が320MBにひろがった。リアルタイムで3次元エフェクトを実行時にペーイングすればコマ落ちは必至だからだ。しかし心配するほどメモリーに依存しないで軽々と実行ができた。基本的には増設の必要は無かったこともお伝えしておこう。

また、今回のバージョンアップでマザーボードのチップセットとの相性も改善された。

Supermicro P6DBS、ASUS P2B-DSなどのマルチプロセッサーボードでの440BXチップセットで動作確認がされている。筆者はASUS P2B-DSで試してみた。Front-Side Busスピードが100MHzで利用できるので、デュアルコーデックと3Dフェクトの膨大な情報にも安心だ。

 

<ドライバーソフトのインストール>

特にお伝えしたいのは、今回のバージョンアップでNTというプラットホームで「ReelTimeコーデック」が標準入出力として機能するようになったことだ。

サウンドカード不要で高品質のAudio出力がブレイクアウトボックスを使って可能だ。

さらに、「ReelTimeコーデック」で作られたAVIファイルは、ほとんどすべての動画を扱うアプリケーションからブレイクアウトボックスを使ってビデオ出力できる。ただし、全フレームの再生にはアプリケ-ション側のドライバーに「ReelTime」対応が必要。

対応済みアプリケーションでCG関係では、「3D Studio MAX Release2」と、「LightWave 3D 5.0」がある。(詳しくは下記のURLを参照のこと)

CGのムービーレンダリングを「ReelTimeコーデック」で行うことによって、完成したCGムービーをそのまま放送品質のビデオ再生できるようになるのだ。

オリジナルから変更されたメニューは4項目だけである。

 

<RT-Software only Codec>

ReelTimeボードが無い状態の複数コンピュータでも「ReelTimeコーデック」を利用することで、効率良くビデオ環境が利用できる。

これはネットワークでビデオサーバーにある素材にアクセスするための布石とも考えられる。

無償ダウンロードのURLは以下のとおり。

http://www.pinnaclesys.com/desktop/reeltime/support/index.html

メニューのSoftware Updatesを選択して

「software_only_codec.exe」をGetしよう。

 

<オ-ディオ機能の強化>

Adobe社のPremiereでリアルタイムにオーディオを扱う機能を強化するため、次の改良がなされた。

VUメーターの装備によってダイナミックなオーディオ管理が可能だ。

 

さらに編集時に必要なスクラブ操作の音量を通常時の20%下げた状態にすることもできる。

 

セットアップ時の基準信号としてカラ-バーの他に1khz-0dbのトーン信号も発生できるように改善された。

 

<各種設定>

圧縮設定も大変に分かりやすくなった。

1:1(可逆圧縮を含む)から68.34:1までの設定が行なえる。デバイスの空き容量に応じた録画可能時間も簡単に確認ができる。設定を変えるとすぐに計算しなおして表示してくれる。

レンダリングなしでリアルタイム再生でき、そのまま最終品質で再生する「ReelTime」では、完成版のムービーを新たに作る必要が無い。

「ReelTime」を再生しながらテープ録画する場合、簡単にカラーバーと1khzの基準音信号、クレジット、ロゴムービー、黒味などのリーダーを設定できる。

 

<DV/1394オプション>

さて、待望のDV入出力を可能にする「DV/1394オプション」は「ReelTime」本体ボードに直接取り付けるドーターボードの形で提供される。この場所はSDIオプションも同じ取り付けをするので、どちらか一方を選択することになる。

「ReelTime」の基板と「DV/1394オプション」の基板をネジ止めしてジャンプケーブルを接続すれば完了だ。

チップはSONY純正のコーデックを使用している。

 

iLinkと呼ばれるDVコネクターはコンピュータ背面に位置する。ここからビデオデバイスに1本のケーブルを接続するだけですむ。延長が難しいのが玉に傷だ。

 

 

取込み方式はDVの4:1:1方式5:1圧縮ではなく、高品質な4:2:2方式のM-JPEGで好みの圧縮に記録できる。

もちろん16bit-32Khzの音声をそのまま取り込むこともできるが、それだけでなく、既存のベータカムなどから取り込んだ44.1Khz素材と合わせてリアルタイムに変換してキャプチャーすることができる。

より高品質な作業がおこなえるわけだ。

 

DV特有なオーディオのTrack1、Track2を利用した4チャンネル音声のバランスもこの画面でコントロ-ル可能だ。通常はTrack1のステレオを使用することが多いだろうが、Track2を無視するDVシステムが多い中、素材によっては有り難い配慮だ。

 

iLinkで接続されたビデオデバイスのコントロールはプレファランスで設定できるように新たに追加される。「ReelTime DV 1394」を選択することで正確にキャプチャ-を行うことができる。

もちろんタイムコードを使用できる機種で無ければバッチキャプチャーなどの便利な機能を使うことができないので、必ずタイムコードを利用できるようにしよう。

 

<GenieRTオプション>

おまちかねの「GenieRT」をレポ-トしよう。幸いにして日本1号機が筆者のシステムで動くことになった。商品版では無いので、バンドルするソフトなどは明らかでは無いが、新しいユーザーガイドの見本を拝見することができた。

これには「GenieRT」と「DV/1394」の設定と、「3D Studio MAX Release2」、「LightWave 3D 5.0」の設定が記載されている。

ユ-ザ-には気になるところだろう。

なにしろCGのレンダリングが完了したとたんにビデオ再生が可能になり、さらに3D DVEがレンダリングなしでリアルタイムに動くのだ。これはちょっと感動ものだ。

PINNACLE社ではDVEXtreme、GeniePlusなどのスタジオシステムと、ほぼ同様のチップを備えたボードをGenieRTとして提供している。

同社スタジオシステムの価格(400万円台)を考えると「GenieRT」は嘘のように安い値段だ。それでも発表当時の値段よりは円安の影響をもろに受けて値上がりしている。

製品構成としては「ReelTime」(1,088,000円)にアップグレ-ドする形で「GenieRT」オプションを追加する場合(1,268,000円)と、

初めから「ReelTime」+「GenieRT」=「NITRO」(2,298,000円)として導入する方法が有る。

リアルタイム仕様の3次元エフェクトノンリニアシステムとしては、最も安価なシステムと言える。

それではインストールしてみよう。

 

この「GenieRT」ボードは「ReelTime」ボードとなりのPCIスロットに設置する必要が有る。

幸い、PCIスロットへの依存度は低いので、差し込む順番などに悩む必要は無い。ほぼ電源供給と、位置を固定する程度のためにPCIスロットを利用しているようだ。

多量の映像データは隣り合わせの基板をブリッジするMovie2バスで行われる。設置はこれだけである。

 

<ReelTime NITRO のセットアップ>

さっそく起動してみる。

現在のテスト版インストーラーでは古いバージョンのドライバーを勝手に削除してくれないので、細かに手作業の削除を行ったが、製品版では自動でできることだろう。

「ReelTime」の設定が完了すれば特に3Dのための設定と言うものはない。

必要に応じてピクチャー・イン・ピクチャーなどでフルサイズでは縁にノイズが乗る場合などにクロップして切り落とせるような設定もありがたい。

これは全部の効果に共通した設定となるが、できれば各効果毎に設定できるようにしてほしいものだ。

3次元効果の設定は従来大変に面倒だったが、「ReelTime NITRO Magic」を選択するだけで、実にあっけなく済んでしまう。

 

130種類以上のエフェクトの中から好みのパターンを選択するだけで利用できるのはとても手軽だ。

特に編集のビギナーや、コンピューターの操作に不馴れなディレクターが3D DVEのセットに悩む必要の無い割り切った考え方だ。従来のオペレ-タ-が行う複雑なDVE設定になれていた筆者には一種のカルチャーショックでもあった。

確かに編集効率をあげる上では選択肢を減らすことが有効になるとは思う。かように「ReelTime」はプロデューサーの喜びそうなコンセプトでプロダクション効率をあげるためのプロダクトを用意している。

ちなみに、オプションで3D DVEのエフェクトパラメーターを自在に作れるソフトも用意してくれるらしい。商品版では無いので正式リリースには改善されるところが多いと思うが念のため。ともあれ成長が楽しみなシステムである。

 

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