デスクトップビデオ: 2000年9月アーカイブ

 

 

2000-9-20

 

尾上泰夫

New G4、そしてG4Dualの登場とAppleのパワフルなマシンがビデオの世界を変えはじめている。ともすると忘れがちなテープデッキとの接続を越えれば快適なノンリニアビデオ編集の環境が簡単に手に入る時代になった。

DVフォーマットの登場とMacintoshのパワーアップはデスクトップをプロ仕様のビデオ編集機に変えることになるのだ。ビデオ映像が簡単に扱えるパーソナルなデジタルの世界へやってきた。次世代デジタル放送の番組は豊富で多くのコンテンツを飲み込んで行くことになる。来るべき映像コンテンツ大量 生産の時代を目の前にしてハイビジョンでさえ編集可能になるMacintoshのデスクトップから発信出来る底力をじっくり味わってほしい。

一度取り込まれたデジタルデータは、多才なアプリケーションから扱うことで、編集のみならず、様々な合成素材としても利用出来る。さらに静止画として印刷物に加工することも容易だ。一度デスクトップに取り込まれたビデオデータは様々なアウトプットが可能になるのだ。いわゆるワンソースマルチユースの実現である。キラ星のように出現する多才なソフトウェアの魅力を余すところなく実現する強力なプラットホームに近付いたMacintosh。

もちろんDVフォーマットのままビデオテープへ作品を戻すこともできる。また、MPEG-2へ映像フォーマットをトランスコードすることによってDVDのオーサリングを行うこともできる。さらに、QuickTimeによるインターネットストリーミングビデオへの応用も可能だ。もちろんデスクトッププレゼンテーションのムービーメーカーとして健在なのは言うまでもない。

個人でも映像を多くの人に見てもらえるチャンスを持つことができる可能性は大きなビジネスチャンスになるだろう。ストリーミングサーバーもMac OS X サーバーを用意するだけで簡単に発信可能だ。

多くの可能性を秘めたビデオ映像データの扱いには様々なアプリケーションの組み合わせと、最新のテクノロジーベンチャーに支えられているMacintoshの恵まれた環境を徹底的に活用するユーザーの目と、確かな腕が求められている。

予算に応じてアプリケーションと機能を使い分ける、選べる時代に入ってきたと言える。

 

DVによって拡がるビデオ編集

IMovieによるビデオ編集へのエントリーが拡がっている。家庭でも簡単にビデオ編集が楽しめるという底辺拡大は大きな影響をもっているのだ。

一部の専門科しかできなかった作業を解放した功績は大きい。

簡単、シンプルであることは、それだけで大きな力になる。

一方、先輩格であるFinal Cut Proの機能も見てみよう。

リアルタイム処理に向けてはNABで発表された「MatroxのRTMac」の登場が待たれるが、Final Cut Proは、さらに高度な領域へ向かおうとしている。

Final Cut Proはノンリニア編集ソフトや、合成ソフトの他社製品から良い部分を多く吸収して、細かく設計された本当によくできたソフトだ。

ソフトのみで標準DV入出力を扱うことができ、サードパーティーのプロセッシングボードを利用することで業務用のアナログコンポーネントに対応したり、シリアルデジタルに対応することも、またハイビジョン対応も近日可能だ。

DVデッキやカメラとの接続もIEEE1394(FireWire)ケーブル一本(4-Pin to 6-Pin)で簡単にできるFireWireは、映像、オーディオ信号の入出力だけでなく、デッキ制御もDVタイムコードで確実にコントロールできる。

オーディオとNTSC映像のモニターは、DVデッキやカメラからアナログ端子を利用して行うことができるので接続しておこう。

このモニターは、カメラ出力だけでなく、Final Cut Proで編集した映像や、オーディオのプレビュー確認にも使用する。ここが双方向で利用できるFireWireの便利なところだ。

強力な合成機能を自由にカスタマイズできる「Filters」も便利だ。

カラーコレクションやポスタリングをはじめ、各種のビデオフィルターが同時に利用できる。しかも時間軸でキーフレームを使ってパラメータを自由に変化できるのだ。

さらに、注目のコンポジション機能は、まるでAfterEffectsのそれを思わせる充実振りで、プラグインもAfterEffects用のサードパーティー製品がそのまま使用できる。キーフレームを自由に使える「Motion」DVEの機能は、全てのクリップに利用できる。画面 の大きさを変える「Scale」ではキーフレームに合わせてスムースに大きさを変化させることができる。さらに、傾きをコントロールする「Rotation」や、位 置を制御する「Center」などを組み合わせて多彩な表現をすることができる。

もちろん、画面の周囲を切り込む「Crop」や、合成したときに下の画面 に写る影の具合をコントロールする「Drop Show」、移動していく時のブレを表現する「Motion Blur」なども含まれている。

キャラクタージェネレータのモーションエフェクト機能も凄い。

タイムラインへキーフレームを打って文字の回転や拡大はもちろんのこと、カーニングさえもアニメーションできるのには驚きである。

これでモーションタイポグラフィーは簡単に作成できそうだ。

デスクトップで可能なハイエンドコンポジション

合成と言えば、Commotion Proの高度な合成環境を忘れてはならない。

ハリウッドでは、映画スタッフがマスク作成のためCommotionを操れるマンパワーを探し回っていると聞く。特に細かな作業の得意な日本人は重宝されるそうだ。

Commotion3.1はこれまでのデスクトップ環境でのパフォーマンスを越えたパワフルなペイントブラシ機能と精密なコンポジット(合成)、そしてエフェクト機能を提供している。ビデオエフェクト、デジタルシネマ、Webストリーミングなど、多くの映像制作に利用することができる。

クリエーターがクリエーターのために設計したツールと言われるだけあって、痒いところに手が届くようだ。

強力なロトスコーピング機能を装備し、高速で精度の高いトラッキング機能を利用してブレの多い映像に高度にマスクを抽出することができる。

またペインティング機能では高精度のレタッチ機能とペインティングエフェクト機能があり、高精度なキーイング、コンポジションのクリーンアップツール、テキストエフェクトとその他のエフェクトが用意されいる。

解像度に左右されずに無制限に重ねられるレイヤー機能を装備しているのも特徴の一つだ。 PhotoShopと同等のトランスファーモード(合成モード)を利用してのレイヤー間の合成、キーフレームでのエフェクトの設定やトランスフォーメーション設定を利用したモーショングラフィックの作成など、ピクセル精度のフローブラーを装備。カメラの特性によって発生するモーションブラーを再現することによってリアルな合成映像を制作し、フルモーションのトラベリング・マットを複数重ね合わせての自由なアルファチャンネルの作成できる。

Webに利用されるような圧縮/非圧縮の映像の他、HDTV、DTV、そしてFireWireポートを利用することによって簡単に利用できるDVと様々な映像素材を確認して利用することもできる。

Adobeィ Premiere、Apple Final Cut Proなどの様々なノンリニア編集ソフトと組み合わせて利用可能だ。Adobe AfterEffects等の他のコンポジションソフトとのリレーション作業も優れている。

DVDへの出力

MediaPressSuite SDIでのDVD制作では、合成されビデオ編集の終わったデータをMPEG-2へ変換するとパッケージメディアで利用が可能だ。MediaPressSuiteは、リアルタイムMPEG-1,MPEG-2出力を可能にするWIRD社のシステムに、オーサリングソフトはソニック・ソリューションズ社 DVD Fusionを利用している。

同社の最高峰SONIC DVD Creatorはハリウッドの映画業界で多くのシュアを持つシステムだ。DVD制作環境としてMedia100などのノンリニア編集を更に意識したソニック・ソリューションズ社のMPEG-2トランスコーダーを搭載している。

オーサリング環境は快適に尽きる。直感的にわかりやすいリンク構造と、全体のデザインを整理するとDVDの完成は近い。

ネットワークでの映像配信

パッケージメディア以外にインターネットによるビデオストリーミング配信も強力な武器になる。

回線に接続するアナログ モデムの品質には制約があるが、ユーザーはオンデマンドのニュースやトレーニング、海外ラジオ番組、Web 専用イベント放送などを見ることができる。

企業は、株主総会の中継や "ジャスト イン タイム" な学習、さらに従業員、パートナー、コンシューマと直接連絡を取って、変化するビジネス環境に即座に対応する能力をストリーミング メディアの利益を得ることができるだろう。

さて、ストリーミングビデオは、どのように実現しているのだろう。

通常、インターネットの閲覧はWebサーバーへhttp(ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル)ブラウザーでアクセスすることによって成立している。

これはデータをコピー転送する仕組みである。

HTTP ストリーミングは、ムービーファイル全体をクライアント側のハードディスクにダウンロードしてから再生する。AppleのQuickTime やMicrosoftのAVIに代表されるムービーファイルは、ファイルサーバーやWebサーバー 経由で HTTP プロトコルを使ってコピー転送される。このファイルは Macintosh と PC の両方で視聴でき、データも、しっかりコピーされているので、クライアント側で繰り返し何度も視聴するようなものに向いている。

一方、RTP(Real Time Protocol)ストリームデータは、転送してきたデータを画面 表示したら、その場で破棄して行くことになる。

まさに放送局とテレビの関係のようなテクノロジーで、クライアント側のコンピュータをムービー配信するサーバに常に接続しておく方法だ。

ネットワーク上で時々発生するデータ配信の遅れをカバーするため3~10 秒分ほどのキャッシュデータが一時的に蓄えられるが、キャッシュデータも含めてムービー全体がクライアント側のコンピュータに残ることはない。

RTP ストリーミングは、長時間のムービーやライブイベントの中継などに向いている。

QuickTimeのストリーミングサーバーは、Apple社のオープンソースの方針で、ソースコードを開示しているので、多くのUNIXサーバーにコンパイル可能だし、メジャーなフリーUNIX用のバイナリー仕様もあるが、プログラマーでないと敷き居が高いので、バンドルされていてインストールのたやすいるMac OS X サーバー(BSD 4.0)を購入するのが懸命だ。

http://www.publicsource.apple.com/projects/streaming/

QuickTimeをはじめRealVideoやWindowsMediaのプレーヤーが利用可能な現在、映像配信は受けるだけでなく、だれもがコンテンツを発信することができる時代に入った。

 

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