2001年9月アーカイブ

 

 

ブロードバンドネットワークのキラーコンテンツと呼ばれる映像プログラムだが、果たしてライブ放送を前提としてきたテレビ(ビデオ)素材を転用するだけですむのだろうか。
インターネットの存在は、地球規模の映像ネットワークを可能にしてしまった。
各国地域の時差だけでなく、さまざまな価値観を持ち、生活時間帯の異なる人たちの共有できるコンテンツサービスは、放送時間をプログラムした在来型の既存の放送でのライブサービスでは不向きだった新しい領域を開拓してくれる。
時間軸(リニア)で構成される映像のインデックスとしてビデオテープの背ラベルに記述してあるだけの情報では不足なのは言うまでもない。
ビデオオンデマンドと呼ばれるサービスは、文字通りほしいときに、ほしい映像をいつでも見ることができるサービスだ。

さて、そこで、私たちはどのように「ほしい」映像を探したらよいのだろう。
主演の俳優?監督の名前?それとも内容の一部だろうか?何かのシーンで意味を探すのだろうか?
この疑問はそのまま逆に検索するという行為に必要な情報を意味している。
データベースに映像の情報を記録する場合、何を登録したらよいのだろう。
そこで、「何かの情報」と言う部分を映像に付随するメタデータと言い換えることが重要になる。
メタデータとは、コンピュータ用語としてはポピュラーだが、映像の情報に関連が濃厚になったのは、デジタルアーカイブの必要に迫られたからに他ならない。
デジタルアーカイブには検索性能の向上が求められているのだ。
検索にはさまざまな手段が用いられるが、その対象になるデータがなければ検索不可能だ。実際の映像はあっても探し出すことができないのだ。

これからの放送局は1日24時間の放送だけではなく多チャンネルの放送コンテンツを意識する必要がある。コンテンツの創出には多くの情報が必要なことは言うまでもない。
さらに自社送出素材だけでなく、競争社会である以上、当然ライバルの動向も記録しておく必要がある。取り上げようとするテーマの扱い方などは、差別化を考慮する重要なポイントとも言える。同様にスポンサーに対する企画持込の資料にもなる。

制作会社ではメタデータを新しい商品として位置付けることもできるはずだ。

 

しかし、情報処理には思わぬ価値を生む代わりに、地道な作業もついて回るものだ。制作で収集し、使用してきた資料をデジタルデータとして検索可能な情報に加工できれば、これはかけがえのない貴重なメタデータそのものになるのだ。
番組企画当初の企画書は、そのままプロフィールシートの変わりになる。
取材ノートはかけがえのない情報の宝であるし、接触担当者のデータベースは、プロデューサーやディレクターの命綱でもある。
ビデオ編集により生み出されるEDL(エディットデシジョンリスト)は克明なカットアドレスそのものである。
制作作業と同時進行で自動的にたまっていくデータならいざ知らず、作業終了語に、これらのデータを整理して一からの入力していく作業には、多大な手間がかかる。

膨大な時間作業を多人数でカバーするには、送出を続けるコンテンツが多すぎるのだ。
そこで、メタデータを自動抽出する方法が求められる。

さまざまなシステムが提案されているが、そのベースになる技術を見てみよう。
映像の管理業務に必要な機能とは、人手に頼らず自動的に映像の中からある特徴を探し出してくれることだ。
映像の中の特徴を調べるポイントは、シーンの切り替わりや、字幕の表示、色情報をもった物体の検出、物体進入の認識など、さまざまだ。人の目であれば映像の意味や解釈などの意味情報が理解できるが、記録するポイントには具体的なアドレス検出(タイムコード)を併用する必要がある。

それでは基礎技術を紹介しよう。

■カット点検出
カット点検出では映像シーンの変わり目を画像変化(色の変化)が多い個所を認識してカット点を検出する。
このソフトはノンリニア編集環境でBIN表示される映像の整理などに利用されている。
■ディゾルブ検出
映像の連続するフレームの明るさ(輝度)が徐々に一定の割合で変化する単調変化性を認識してディゾルブを検出する。
■ワイプ検出
ワイプを使用した映像が、元のシーンと後から表示されるシーンとの境目で明るさの差(輝度差)が大きいことを認識してワイプを検出する。
■スチル検出
映像中の静止状態になっている区間はフレームの明るさ(輝度)の変化が少ないことを認識してスチルを検出する。

■テロップ検出
映像中のテロップが表示されている領域では、高輝度でフレーム間の明るさ(輝度)の変化が少ないことを認識してテロップの開始点、終了点を検出する。
演出的にテロップを挿入する画面は決めの映像が多いので、インデックス表示すると時間をかけずに全体の流れを把握することに有効だ。
■パンズーム認識
映像が上下左右に移動した場合模様情報の移動量を求めることでパンの有無を認識する。また、拡大、縮小率を求めることでズーム率を検出する。
この機能を利用してビデオ映像からパノラマ写真の制作や、ズームを利用した高解像度の高解像度写真の合成などに利用できる。

■侵入監視(動き)検出
画像上に設定したスリットに対して人物や物体が通過する事象を検出する。
連続撮影している中から動きのある部分をリストアップすることが実現できる。

■色物体認識
色の情報を元に映像中の色を1フレームずつチェックし対象物に関する情報として、対象物がフレームに表示されていいるかどうかの判定結果、開始点、終了点、位置情報などを出力する。

このような認識を自動的に行い記録をさせることで、より正確に必要な映像へすばやくたどり着くことが可能なる。

VODのアセットマネージメント
データベースに記録できるメタ情報と、映像の時間位置情報をリンクすることでオンデマンドのビデオ検索に利用できるシステムとしてストリームビデオ配信ネットワークへ登場したシステムがある。
Virage」はストリーミングビデオとデータベースによる管理を商用利用することを提案している。
アセットマネージメント機能を強化して映像の中にあるさまざまな情報を検索対象にしているのだ。従来のパソコンでの画像解析技術をプラグインの形で取り込めるようにデザインしてあるのが特徴だ。記録できる情報に「クローズドキャプション」などの文字放送データや、IBMの音声認識を取り込むなど多彩な情報が収集できる。
面白いところでは顔の検出を行うプラグインが紹介されていた。これは「フェイスイット」というコンシューマー向けソフトの機能を利用したもので、事前に記録してある人物の顔を画面の中から探してくれるものだ。
Virageはアメリカで多くの放送局で採用され、放送素材のWeb展開へ拍車をかけている。日本でも進出が予想されるシステムだ。

さて、最後に日本語のビデオOCRについてご紹介しよう。
テロップ検出を行うシステムが実際のビデオ画面を捉えても、読み出しができないと検索には不便だ。先のVirageも、現時点では日本語の文字を読み込むことができない。
そこで紹介するのが「ビデオタイムマシン i-Telop」だ。

テロップの表示された画面は意味的に説明を付加したい意図のある重要なシーンである場合が多いので、テロップ検出はインデックスとして大変有効だ。
しかも、その文字を読み込み、テキスト情報として認識してデータベースへ自動的に登録してくれる。
利用法は簡単だ。キーワードで検索したり、探したい日付の時間帯でテロップの表示された画面だけを一覧表示することができる。その画面をクリックするとMPEG-4(WindowsMedia8)の動画がストリームで再生される。
ネットワークで利用できるので、テープ管理の手間がいらない。
24時間稼動して映像を記録しつづける。同時に無人でテロップ文字の取り込みを行ってくれる。
放送記録を義務つけられている放送局のライブラリーには重宝な検索システムといえるだろう。 

データ容量の爆発的増加を向えるブロードバンドネットワークに向かい合うための下準備をしておこう。

ある調査によるとデータストレージは2000年を1とすると、三年後は、大体4倍から7~8倍ぐらい、それから2005年が、さらに7~10倍くらいのな市場規模になると考えられている。
現在米国ではデータ量の爆発的に増加している。どこの企業でも、容量、特に映像を扱う所が、ストレージの爆発に悩んでいるのだ。
従来ではサーバーに直接接続したストレージがメインだ。だからそのストレージが足りないと、またストレージを足す。で、またストレージを足すと、いうような形をとっていたが、実はそれではすでに追い付かない時代がきている。サーバー接続のストレージでは、サーバーのCPU能力がストレージの容量をコントロールしきれなくなるのだ。アメリカでは1年以上前から深刻な問題になっている。一度爆発をはじめるとコントロールは困難だ。
一つの要因はシステムの多重化などに伴い、同じデータを複数のホストで持ち合うことが上げられる。大規模データの共有は重要なテーマなのだ。
ここで、パフォーマンスを考えてみよう。
従来の感覚的にはネットワークで共有したディスクと、直接SCSIなどで接続したハードディスクでは比較にならない位のスピード差が有ると考えてしまう。
ネットワーク共有ディスクには、単にデータを渡しあうための中継の役割が相当と考えていた。実際の作業は本体のディスクへコピーしてから利用するのだ。確かにSCSI接続のディスクの方が快適だったからだ。
最近になってこの認識が変わっていく状況が出てきている。
ハードディスクの例としてSCSIの転送スピードの進化は、40Mb/sの時代から80Mb/sへ、そして160Mb/sへと倍々の能力を備えてきている。
一方、ネットワークの転送スピードは10Mb/sから10倍の100Mb/sへ、そしてさらに10倍の1Gb/sの時代へと突入しようとしている。
ネットワークのスピードがSCSIを超えようとしているのだ。
従来でもSAN(ストレージエリアネットワーク)で使用されるFC(ファイバーチャネル)は高いパフォーマンスはあっても、余りにも高額で一般的な利用には不向きであった。
ここで、価格が下がって快適なSANの環境を紹介しよう。

ATTO社のFCは高性能システムに定番とも言える安定した製品だが、気がつかない間に大幅に価格が下がってきて手の届きやすいところまで来ていた。
ATTO社の製品はMacintoshに対応した製品がラインアップされているので、今回はビデオ編集でTARGA Cineと、DVDオーサリングのSONIC DVD Createrを接続してみた。

 

FCのディスクはMedia社のFC用ドライブを利用した。
実際の接続にはパソコンのPCIスロットへFCインターフェースカードを設置してDサブ形状のコネクターの付いたケーブルを取り付ける。

ネットワークで言うハブ機能を有するFCスイッチにそれぞれのケーブルを接続し、同様にFCディスクをケーブルでスイッチに接続する。
ソフト的にはFCのマネージメントソフトをインストールして複数のPCから同じファイルを同時に編集しないように制御する。
ノンリニアの編集で非圧縮キャプチャーを行うTARGA Cineに接続するハードディスクは高速のディスクを要求されている。これをネットワークに繋がるディスクで軽々行える様は、感動的ですらある。標準で採用されているIDE内蔵ディスクなど比較にならないぐらい圧倒的に早い。
また、DVDへの利用に付いて、MPEG2へのエンコードを行う場合、データファイルからのトランスコードを行うよりもSDI経由でリアルタイムでエンコードする方法を選んだ。どちらのデータも同じディスクに保管されている。
非圧縮で編集済みの映像を別のシステムからリアルタイムでエンコードを試みたが、何も問題なく行うことが出来た。
大切なデータを中心にネットワークシステムを考えることは、同時にパーソナルコンピュータが持ち合わせているハングアップの恐怖からファイルシステムを切り離すことでもあるのだ。データ管理のファイルシステムを維持するだけを目的にしたネットワークストレージシステムの安定性は、様々な作業を行うパソコンのそれとは比較にならない安心な場所だ。
データ共有することを前提のシステムでは今までの発想を変えていくことができる。
従来のパソコンに繋がる周辺機器としてのハードディスクから、ストレージを中心にし、処理に応じた周辺機器としてのコンピュータの接続という考え方だ。
ここで、手軽に導入できるNAS(ネットワークアタッチドストレージ)を考えてみたい。
今回紹介するNASはノーザンライツコンピュータ社のNAS製品だ。

試したシステムは小規模のLinuxベースのストレージだが、容量は単純にディスクを増設することで解決する。
基本的にはNASもコンピュータシステムなのでシステムをインストールすることから始まる。インストール済みの商品も見かけるが、個人的には自分で確認できることは好ましく感じる。
インストール自体はCD-ROMから起動してIPアドレスを指定するだけで開始できる。画面にはしばらくLinuxのインストール作業が表示される。
ほどなくインストールが済むとネットワーク上のどのコンピュータからでもWebブラウザーから先に設定したIPアドレスへアクセスが可能になっている。

はじめにネットワークの設定を行い、ファイルサーバーの設定を行えばデスクトップへボリュームをマウントできる。

 

ボリュームはAppleTalkでもWindowsでも共有することができる。

 

プライベートの環境で限られたユーザーだけが利用するならこの程度の設定で利用可能だ。

 

100mb/sのネットワークでもTCP/IPでは実際に転送できるスピードは遥かに低く押さえられる。
ノンリニア編集のキャプチャーは無理だが、DV程度の圧縮なら再生は可能だ。
一度内蔵ディスクでキャプチャーしたものをNASに保存することでFinalCutProで編集に利用することができる。
様々な素材となるムービーやグラフィックをLAN上のグループで共同で利用したり、協調作業を行うことが可能になる。WindowsやMacintoshなど異なるプラットフォームでのデータ共有にも便利に利用できる。
何よりもコンピュータのフリーズに引きずられることがないのは助かる。
変わった使い方として、ストリーミングビデオのサーバーからNASのボリュームをマウントポイントとして指定しておくと、エンコードを終了した瞬間から
ネットワークから閲覧可能な操作が可能だ。
ネットワークのスピードが上がって、簡単で安価に導入できるNASの存在は注目に価する。コンピュータの導入より簡単なネットワークストレージとしてぜひ1台試していただきたい。
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