2001年4月アーカイブ

 

今月は、ますます需要が高まる業務レベルでのエンコード作業を考えてみたい。

Webでの映像配信は、回線帯域とユーザーのアプリケーション環境によって様々な転送レートやフォーマットを用意しなくてはならないのが実情だ。

同じコンテンツを何度も違うフォーマットへ変換したり、様々な転送レートを実装したエンコードにかかる時間は、思ったより深刻な長時間労働の環境と、多量のPCという物量でカバーしなくてはならない現実にぶち当たる。

短時間の素材を趣味のレベルでエンコードするには、フリーのソフトを活用して大変安価に行うことができる。しかし、毎日1時間素材を数本、DVD用にMPEG2と、ストリーム用にRealVideoWindowsMedia、そしてQuickTimeへ対応、しかもモデムユーザーからISDN、さらにブロードバンドADSL対応を考えてエンコード計画を立てると、相当の人海戦術を覚悟しなくてはならない。

人件費は大きなコストである。減る事の無い頭数を要求する作業のコストは、実際の需要に合わない作業単価になってしまう。

増える一方の需要に対してデータフォーマットの多彩さは、今後、現場の作業を行なう方に共通する深刻な問題となってくる。

1ソース、マルチユースの時代では、同じ映像素材を様々なデータ形式へ効率的に変換する必要があるのだ。

それはDVDであったり、ビデオサーバー素材であったり、様々な用途へ迅速な対応が求められている。さらに、エンコードの終わったデータを適切な場所へ納品する作業まで考えると、とてもフリーソフトで負える作業ではない。

 

ここで紹介するシステム、TeleStream社「FlipFactory」は、映像をデジタイズし、ファイル化したものを、様々なストリーミングデータへのトランスコードと、複数サーバへのアップロードをオートメーションで実行するアプリケーションなのだ。

 

このシステムはサーバ上で稼動している。全部の処理をワンステップで並列処理して、出来上がったものを配信までやってくれるすぐれものだ。

 

<フォーマット>

サポートするフォーマットは、入力のファイルとして、MPEG1,MPEG2から、DVWINDOWS MEDIAAVI も入りますし、QUICK TIMEも入るので、コンピュータを使ったノンリニア編集で処理されたものとか、実際の映像のデータベースとして持ってくる素材など、ほとんどすべてに対応できる。

出力フォーマットは、今は、RealVideoWindowsMediaの2つがだいたいメインだが、それに加えてQuickTimeのストリーミングや、音楽配信のMP3も同時に処理する事が可能だ。繰り返すが、同時処理であってバッチ処理ではないのだ。

しかも複数タイトルを同時に行うこともできるのだ。

複数の作業設定をリストアップする

 

オプションとして、より高画質なフォーマットを、違った用途に使えるように、MOTION JPEG MPEG1MPEG2 にしたり、またはAVIにして違う用途に使うなど、広い用途でエンコード考えた場合に、便利なオプションが用意されている。

エンコードは非常に時間のかかる作業だが、従来では途中の入力や、設定などの作業がたびたびあるので、その場を離れるわけに行かなかった。

それが、FlipFactoryでは、すべて事前に設定したとおり自動で行ってくれるので、作業が終わったら携帯電話に「全部配信まで終了しました」というメールが届くようなこともできるのだ。

エンコードの作業状態を確認する

 

取りこまれた素材の状態を示す

 

作業完了した時に送信するメッセージ内容を設定する

 

 

<転送>

エンコードされた素材をサーバに転送する部分は、FTP経由で送る事もできるし、httpで送る事もできるし、MAILで添付ファイルとして送ることもできる。

エンコードの終わったファイル一覧

 

エンコード作業の詳細データ

 

予め転送の必要なサーバーを設定しておくと、エンコードが終わり次第に転送を行ってくれる。

 

<デジタイズ>

ここで、デジタイズのサブシステムも紹介しておこう。

ClipMail proは、TeleStream社のハードウェアの製品だ。これは、映像をMPEGデータへエンコードして、ネットワーク経由で相手先に送る事ができる。

もともとの用途はピアtoピアといったVIDEO FAXのようなもので、たとえば日本からアメリカへビデオ素材を送りた場合、衛星で回線おさえたりするコストの面を悩まずにインターネットなど既存のWANをつかって安価に送る事ができるシステムだ。

実際はデッキなどを制御して、欲しいデータをタイムコードで指定することになる。後は自動で取りこんだデータを、このClipMail pro端末からFlipFactoryに対しても転送することになる。

 

FlipFactoryでの設定作業>

それでは実際の設定作業を見てみよう。

作業を行う担当者の単位をアカウントという形でサーバーに事前登録しておこう。このアカウントに対して様々なエンコード作業のリストを付け加えていくことになる。

アカウントの登録画面

 

新しい設定を作ってみよう。

始めにフォーマットを選ぶ。例えばQUICK TIME STREAMINGREAL NETWORKS ,WINDOWS MEDIA MPEG1,MPEG2,MP3ということで、ここで実際に、ほしいフォーマットを決定する。

エンコード設定のコーデックをカスタマイズする

 

REALを選ぶと、その下に、コーデックのバージョン、たとえばREALであればシングルとシュアストリームという両フォーマットをはきだすことができる。

REAL は8まで対応している。

エンコード設定のフォーマットをカスタマイズする

 

コーデックを選ぶと、次はどれぐらいの転送レートでデータを扱うか決める。、REALの場合なら、社内LAN750Kから、下は20Kまで選べるような形になっている。さらに、そのレートに対して、どの解像度でデータを作るかという解像度の指定を行う。その下のフィルタで、音のレベルの補正とか、ノイズリダクションの指定ができる。

エンコード設定の転送レートをカスタマイズする

 

WINDOWS MEDIA の場合も同じようにコーディックの設定ができて、シングルレート、マルチレートで選べる。またQUICK TIME STREAMINGも同じようにコーディックの指定ができる。

こうして作った設定が、リストとして表示される。

さらに、このエンコーダを使って、作ったデータをどこへ配信していくかということを決めるところがディストネーションだ。

エンコード作業の終わったファイルの送り先を選ぶ

 

ここで、クリエイトディストネーションをクリックすると、「どのようなデリバリの方法を選びますか」という選択肢がある。実際にやってみよう。

まず、一つはアカウントで設定したE-MAILアドレスに対して、添付ファイルとしてストリーミングデータを送る。もうひとつはローカルサーバ上にデータは保存して、それのINDEXの通知だけをE-MAILで送って、そのリンクをクリックすると、ストリーミングデータが再生する方法。あとはサーバ上に置いて、FTP経由でデータをダウンロードできる形にする方法を設定しておこう。

 

こうやって作ったアカウントの設定に対して、メールなどでファイルを送ってやると、ここで指定した処理が全部同時に始まって、終わったものからどんどんと配信されていくのだ。

但し、100個のファイルを処理したいとき、本当に100個同時に処理できるか?というと、それはサーバの能力による。実験ではデュアルプロセッサのマシーンで運用しているが、8CPUをのせれば、マルチスレッドで実行するし、またはサーバを二重化、三重化して、サーバに振り分けるかたちで、ジョブの振り分けをするマルチ運用も可能だ。

 

実際にエンコード作業がルーチンワークになっている現場では、担当者が倒れる前に導入を検討する必要があるシステムといえよう。

 

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