2000年11月アーカイブ

 

もともとインターネット回線というのは細い帯域だ。日本だけでなく海外でもそんなにべらぼうに太い帯域をもっているわけではない。その中でビデオ映像を出そうというのは大変な話だ。だが、すでに帯域さえ確保できればコンピュータ上で、NTSCモニター画面サイズで映像を流せるようになってきた。年々という早さではなく、数ヶ月単位でエンコード性能が上がるわけだ。1999年の頭にReal 8が発表になり、フル画面表示の画像が送れるデモが始まった。市場では次第に回線が安くなる。その上、品質を確保するのに必要なストリーミングデータ容量がどんどん少なくなってきた。今の勢いでいくと、ある所でテレビを抜くのが目にみえている。

よく、VHSクオリティーという言い方をするが、一般の方が映像を手にする商品としてVHSが一番ポピュラーだから比較しやすい。VHSと同様な映像がパソコン一杯に広げて観られるというのは去年の話だ。その当時はまだ帯域が1メガくらい必要だった。実際に必要な帯域というのが半分、半分という具合に減ってきているのだ。Real 8 10月の段階で一気にDVDクオリティを、そのままストリーミングで流せるデモを行った。

新作のゴジラのプロモーションをいきなり見せて頂けたが、画面一杯に見せたビットレートは800kくらいといった状態から一気に下がって、500kでもいける。

それでも日本で普及している ISDN 128kの回線ではとても無理だ。

次の上の回線が欲しい。とひと桁上がって、自分の所に1MBあったらどういうことがおこるか。単純に今流行りの無線LANは、ワイヤレスで飛ばしているが、これは11MB/sで飛ぶ。実行速度はたかが知れているが、最新の、Real 8 の規格でエンコードすると、画面一杯にエアーで飛ばしても映すことが可能生だ。

これが今の技術。実際に、VHSクオリティーを出すために、MPEG11400Kが必要としていて、98年のReal 7だと800k、99Real 8 400Kで同様の画像が出せる。と、発表している会場で、RealCEOが、「実はこの資料をつくっていたときはそうだったけど、今は300kで出来るよ」という話をしていた。

そして12月、マイクロソフトは「Windows mediaでは250kで出せる」と言って登場したのがwindows media 8の仕様だ。きっと、もうすぐRealは言いますね、「うちは192kで出せますよ」と。他にもフォーマットがMPEG1や、MPEG2,MPEG4など多数あるので、配信フォーマットにまだスタンダードがない状態だ。ブロードバンドは携帯電話も含めて映像を利用する端末に変えて行こうとしている。

今まで放送というのは、スタジオがあって、電波塔や衛星があって、その上に免許を持っている特定の事業者だけが、はじめて電波をながせる仕事だった。

ところが、これからはエンコーダーと回線があれば、誰でも放送を始めることができる。

放送のためのテレビ塔や、中継所だったのが、今ではインターネットルーターとか広帯域スイッチャーが上手く機能すると、かなりの品質のものが楽にネットワークで流せるになる。だが、高速インターネットといっても、どこもかしこも太いわけでは決してない、既存の所は非常に細い。

そこで星を使って送ってしまうのだ。現在、衛星放送のかなりのチャンネルで遊んでいる。そこで一気にシャワーのように、あちこちのプロバイダーに設置するエッジキャッシュサーバーへ先送りをし、そこから各家庭へは高速の太い回線が用意されている構図だ。

インターネット・コンテンツ・デリバリー・ネットワークは、参加企業から色々な業種のグループで構成されているのだ。

これをもっと小さなレベルで考えると、これからは映像制作をして納品する場合、顧客企業の社内LANにビデオサーバーを置いて、映像の成果物をオーサリング済みデータとしてアップロードするのだ。

例えば、教育関係の学校教材であるとか、企業内のトレーニングといったところに映像はよく使われるが、これこそ、まさにうってつけだ。教育は映像を見せるだけではなく、見た人が、どういう感想を持ったか、その結果どのような行動を考えたかリターンが欲しい。情報が行ったり来たりする所においてコンピューターのネットワークほど便利なものはない。

ただ、オーサリングは、映像制作側にとって、敷き居が高い。始めるまでの段階で、サーバーがわからんということが多いだろう。

ストリーミングだけならまだしも、同期素材を送出すためのSMILや、データベースとの連動など、オーサリング環境になると、完全にプログラムの世界に足を突っ込み始める。得意な分野を持った制作会社と企画段階からアライアンスを組む体制が求められる。

マーケティングの専門性や、教育の心理解析など、様々な専門分野が融合することで高機能の教育支援システムが構築できる可能性がある。

支援ツールも登場したばかりだ。

SMILをこえる機能を持つICMLは日本のベンチャー企業が開発した。

 

演出側、制作側というのはオーサリングツールを、使えればいい。道具を作る必要は全然ない。使うにあたっては、どれを使うのが一番苦労がないのかというチョイスをしなくてはいけない。これだけたくさん出てきている中で選ぶというのは楽しみでもある。

2001年にはどこが生き残って本命になるのだろう。

 

前回までは世界の最先端を紹介してきたが、今回は日本に目を向けてみよう。

ハイビジョンを指向する大メーカーを除けば、構造不況的な日本の映像制作業界で前向きな話題が乏しい昨今だが、どっこいITベンチャーの勢いは負けていない。

世界に誇れる日本のベンチャーが開発した技術を2件紹介しよう。

一つには映像をネットワークで配信するK-Streamという独自システムだ。株式会社 オフィス ノアはK-Streamを生み出し、携帯電話等の峡帯域での映像配信をMPEG-4ではなし得なかった品質を今日でも可能にしてみせた。

もう一つは映像配信の演出技術の枠を広げるICMLという記述言語だ。

株式会社ロペはICMLを開発し、SMILでは不自由だった表現技術を広げ、世界へ向けて記述言語のスタンダードを捕りに向かっている。

両社の共通している点は若い技術力だ。そして、新しい発想をお蔵にしない果 敢な経営陣と営業力と言えよう。

取材をさせて頂いた両社の技術は世界でもトップクラスのものだ。

まずは資料をもとに最新技術を紹介しよう。

K-Stream

K-Streamとは、カメラなどから取り込んだライブ映像を iモードやJ-Skyweb対応携帯電話向けに変換して静止画および、ライブ動画で配信するサーバーシステムだ。

このサーバーシステムは、パンチル・ズーム、明度自動調整機能は勿論のこと

タイマー録画、ビデオメール、アルバム、テロップなど、多機能なシステムとなっている。

開発元である株式会社 オフィス ノアは、動画圧縮技術をはじめ、ストリーム配信技術などITには欠かせないテクノロジーを独自に開発しておりモバイル向けのテクノロジーとしては、K-JAVA対応ストリーミング技術やIMT-2000へ向けての独自技術を開発している。

10月より、同社が提供している iモードおよび、J-Skywebの公式メニュー内のサイト"FanClubNet"では、12月からの提供となる。 第一弾として、ラルト・アン・シエルの12月6日東京ドームでの コンサートの生中継。

11月より、エフエム東京が、同社の携帯向け公式メニューで開始する"スタジオのライブ映像配信"も、この技術による。

K-Streamは全ての映像フォーマットに対応している。

静止画、動画のフォーマットはJpeg、Gif、Png、MotionJpeg、

MovingGif、MPEG・・・・等多種に渡るが、K-Stream Serverは入力フォーマットを問わない。

同社の端末ユニットは、高画質と高効率を追求した独自圧縮方式を採用している。また、出力フォーマットも全キャリアの全機種に対応している。

つまり画像はサーバによって機種に適合した画像形式と容量 に調整されて配信される。

新発売される機種には、キャリアからの事前情報を基に発売時には対応済みだ。

もちろん通常のPC環境では何の問題もない。

また、同社はDoPaと組合わせた配信端末を使っての映像配信サービスも併せて開始する予定だ。

ICML

ICMLとは”Intermedia Casting Markup Language”の略でメディア(映像、音楽、テキストなど)の枠を超えた配信を目的とした記述言語だ。

ブロードバンド時代は、動画(映像)の高画質化と、スムースな再生が可能になる。この事によりインターネットはテレビと同等それ以上のクオリティを持ち、さらにインタラクティブ(双方向)性をいかんなく発揮出来るメディアに生まれ変わることを意味する。

そこで時代が求めるものは、現代の記述言語HTMLを超える、動画再生を軸とした新しい記述言語(ML=マークアップ・ランゲージ)だ。

ICMLは、まさに時代のニーズを先取りした革新的記述言語で、ブロードバンド時代のでファクトスタンダードを目指している。

ICMLの特徴

マルチシンクロ

動画(映像)コンテンツとシンクロ(同期)をとりながら、他の複数のコンテンツ表示を可能。

ドラマの再生にあわせ、そこに登場する小道具の詳細情報を表示し、それを効果 的なEコマ-スとして実現する、など多様な用途が考えられる。

マルチレイアウト

配信サイド・受信サイドともに、どうが再生フレームを含む全てのフレームのレイアウトを自由に選択する事ができる。

配信サイドは、より効果的なレイアウトをストレスなく制作でき、またユーザーは自分の好みに合ったレイアウトを楽しむ事が出来る。

マルチシナリオ

メインの動画コンテンツに対して、複数のサブコンテンツ(シナリオ)を用意し、シンクロさせる事ができる。

ユーザーは用意されている複数のシナリオから好みのものを選択し、楽しむ事ができる。

映画の字幕選択(英・仏・独・・・)はもとより、メインでのコンサート模様の再生中に自分のお気に入りの人物にスポットを当てた情報・映像をサブ画面 で表示出来る。

すでに運用可能な状態でデモを拝見したが、共に日本のインフラのグレードアップを待って真価を発揮することになろう。

2001年はネットワークストリームの大きな変化を迎える。

新しいメディアには新しい制作、演出手法があるのだ。

従来の放送局主導の映像買い上げ(権利買取)ではないビジネスモデルの策定が急がれている。得に分岐映像の演出分野は多くの若いディレクターに新境地を与えてくれる事だろう。そんな時代だからこそ物創りの権利を守る手法が真剣に考えられなくてはならないのだ。

コンテンツが不足しているのではなく、生み出すための環境整備が不足している事実を噛み締めるべきなのだ。

Copyright 1996-2007 & copy; DreamCraft