2000年7月アーカイブ

 

テレビ放送や、ラジオと違い、ネットワークでデジタルビデオをダウンロードすることができると、コンテンツの完全なコピーが可能になる。

これは著作権の管理上、大変に具合が悪い。

これまではネットワークで映像データをやり取りする時、サーバーからデータをダウンロード(コピー)してクライアント側で再生するために、落としてきたデータを再配布することが容易だった。

ここに登場してきたのがストリーミングビデオだ。

最大の特徴は、ダウンロード型と比べて、ストリーミングはクライアントがデータを保存することを許さないところだ。

回線に接続するアナログ モデムの品質には制約があるが、ユーザーはオンデマンドのニュースやトレーニング、海外ラジオ番組、Web 専用イベント放送などの可能性を見ることができる。

DSL およびケーブルモデムで接続された家庭の出現は、CD 品質の音楽と放送品質に近いビデオ配信に道を開いた。特に米国ではインターネットの高度な双方向性と e コマース機能に加えて、強力なペイ パー ユース コンテンツや広告付きコンテンツ配信が始まっている。

また、 音楽業界はデジタル メディア革命の最先端にいる。コンテンツの保護と配信を実現し、他のデジタル コンシューマ デバイスと幅広い互換性を実現している。

そして企業は、バーチャル株主総会や "ジャスト イン タイム" な学習、さらに従業員、パートナー、コンシューマと直接連絡を取って、変化するビジネス環境に即座に対応する能力をストリーミング メディアの利益を得ることができるだろう。

さて、ストリーミングビデオは、どのように実現しているのだろう。

通常、インターネットの閲覧はWebサーバーへhttp(ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル)ブラウザーでアクセスすることによって成立している。

これはデータをコピー転送する仕組みである。

HTTP ストリーミングは、ムービーファイル全体をクライアント側のハードディスクにダウンロードしてから再生する。AppleのQuickTime やMicrosoftのAVIに代表されるムービーファイルは、ファイルサーバーやWebサーバー 経由で HTTP プロトコルを使ってコピー転送される。このファイルは Macintosh と PC の両方で視聴でき、データも、しっかりコピーされているので、クライアント側で繰り返し何度も視聴するようなものに向いている。

一方、RTP(Real Time Protocol)ストリームデータは、転送してきたデータを画面 表示したら、その場で破棄して行くことになる。

まさに放送局とテレビの関係のようなテクノロジーで、クライアント側のコンピュータをムービー配信するサーバに常に接続しておく方法だ。

ネットワーク上で時々発生するデータ配信の遅れをカバーするため3~10 秒分ほどのキャッシュデータが一時的に蓄えられるが、キャッシュデータも含めてムービー全体がクライアント側のコンピュータに残ることはない。

RTP ストリーミングは、長時間のムービーやライブイベントの中継などに向いている。

このやり取りをするための専用データフォーマットは、数年前から各社発表されてきたが、普及して残ったのが以下の方式だ。

簡単に紹介しよう。

RealNetworks : RealVideo

Apple: QuickTime

Microsoft: WindowsMedia

そして、次世代携帯電話への採用を決めて、これからのスタンダードになろうとしているのがISO(国際標準化機構) MPEG4だ。

それでは各フォーマットの特徴や商品構成を見てみよう。

はじめにRealVideoだ。さすがに老舗だけの充実した商品構成を誇っている。

RealProducer Plus(オーディオ、ビデオのストリーミングデータ制作ツールの機能拡張版)

RealPresenter Plus(ストリーミング中にマイクロソフト・パワーポイントのデータあるいは Web ページを加えることができる)

RealSlideshow Plus(デジタル写真を音響効果、ナレーションと一緒に送出できる)

Streaming Media Starter Kit(RealServerをふくめた必要なツールをパッケージにした構成)

その他にも多くの機能を発揮させるコンテンツ制作のためのツールが揃っている。

無償のクライアントと簡易ツール、そして有償の高機能ツールたちに支えられたRealVideoの環境は、コンテンツ制作のプロが望む物を、さすがによく分かっている。

Quick Time

Mac OS X Server の下で稼働する QuickTime Streaming Server を使えば、インターネット上で流すデジタル映像のチャンネルが始められる。

QuickTime Streaming Server は、Mac OS X Server の下で、ストリーミング用に保存されているファイルを同時に 2,000 人を超える利用者に配信できる。(利用者側は QuickTime 4 が必要)

しかも、アップルは QuickTime Streaming Server のソースコードをデべロッパーへ提供することを約束してる。

Windows Media

後発だが、プレーヤーが世界標準とも言えるWindows OSに標準搭載されている強みは今後の普及に大きな影響があるだろう。しかもライセンス料無償で利用出来ることで、ますます支持が広まっている。

ちなみにWindows 2000 Serverには標準でMedia Serverが添付されている。

Windows Mediaはデスクトップやサーバーの Windows の一部だから、追加ライセンス料は一切不要。

ここへきてコンテンツ プロバイダは実験段階から採算ベースに移行しようとしてる。

最近 Microsoft が発表した Digital Broadcast Manager は、e コマース ソリューションを提供している。コンテンツ プロバイダは Manager を用いて、インターネット上で Windows Media を使用してのペイ パー ダウンロードやペイ パー ストリームのコンテンツの管理、配信、販売が可能になる。 さらに、Microsoft のデジタル所有権管理 (DRM) プラットフォームである Windows Media Rights Manager と接続することにより、プロバイダは自らが確立したルールに基いて自社の所有権を維持、固守することを保証される。

さて、来年のサービス開始が予定されている次世代携帯電話IMT-2000にテレビ電話、動画などを扱う機能を供給することの決まったMPEG4を紹介しよう。

米国アップルコンピュータ社、IBM社、米国ネットスケープ・コミュニケーションズ社、米国オラクル社、米国シリコングラフィックス社、米国サン・マイクロシステムズ社の各社は、アップル社のQuickTimeファイルフォーマットを、MPEG-4規格における統合されたデジタルメディアのファイルフォーマットを開発する基礎として採用することを国際標準化機構(ISO)に共同提案し、ISOはこれを採択した。

上記の6社は、MPEG-4は市場で早期に受け入れられると見ており、現在、MPEG-4規格とQuickTimeファイルフォーマットの整備のため、その他の企業および産業界との協同作業の準備を進めている。

ここでMPEG(Moving Picture Experts Group)について、少し見直してみよう。

MPEG-1はVCD(ビデオCD)などで利用されていた。MPEG-2は、放送品質のビデオ/オーディオのための圧縮規格で、DVD(Digital Versatile Disc)やDVB(Digital Video Broadcasting)のためのファイルフォーマットとして知られている。MPEG-3はオーディオの利用で普及している。そしてMPEG-4は、現在ISOのMPEGで協議されているデジタルメディアの規格で、デジタルコンテンツ内のオーディオ、ビデオ、その他の内容を、ユーザが選択、閲覧、操作することを可能にする。MPEG-4規格の基礎としてQuickTimeファイルフォーマットが採用されることで、これまでさまざまなファイルフォーマットで作られていたデジタルメディアのコンテンツが、今後は共通 のファイルフォーマットで作成できることが保証される。もちろん、MPEG-4はビデオ/オーディオのストリーミング再生にも対応しているため、リアルタイムでの視聴が可能だ。このストリーミングデータは、インターネットや企業のネットワークを通 じて、また、放送局などから家庭へ直接配信できる。さらに、QuickTimeをベースとしたファイルフォーマットを用いることで、現在あるQuickTime対応のハードウェア、ソフトウェア、デジタルコンテンツの大部分は、次世代のMPEG環境でも引き続き利用できるようになる。

NTTが独自に開発したオーディオ符号化方式「TwinVQ」が、動画及び音楽の国際標準規格MPEG-4/Audioに正式採用されることが決定した。

「TwinVQ」は、音楽データを原音の約1/10から1/100まで圧縮できる技術で、圧縮されたビット列の一部からでも音楽を再生できる機能(スケーラブル符号化)への対応により回線状況などに応じて、自動的に音質レベルを変えて音楽を提供するといったサービスが可能になる。

また、高圧縮時の優れた音質、例えばCD-ROM1枚に20時間もの音楽を記録できるようになる。

さらに、伝送路上で発生する符号誤りに対する耐性など、移動体等の無線通 信で回線状態が悪化した場合でも音質の乱れが少ないなど、数多くの優れた特徴を備えた音楽圧縮技術だ。

峡帯域の携帯電話などの動画通信と、ブロードバンドのデジタル放送でのフォーマットが関連してきた現在、ストリームビデオを放送番組に利用することは、企画する上で欠かせない要素になってきたと言えよう。

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