DVDオーサリングの戦国時代

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DVDオーサリングの戦国時代

 

 

  1. DVDコンテンツの種類(例)
  2. DVDを構成する素材
  3. 一段落した専用システム
  4. ソニック・ソリューションズ社 DVD Fusionを発表
  5. アスタルテ社 DVDirectorを発売開始
  6. ミネルバ社Impression for DVD 1.0の試用レポート

 

DVDが世の中に出始めて早2年以上を経過しているが、昨今の映像機器、コンピュータ業界などの急速な変化とは似つかわしくないスローな立ち上がりに感じる。

それでも、ようやく映画を先頭にして、そろそろレンタルショップにもタイトルが並びはじめた。

過去にLPレコードがCDに置き換わっていったように。

コンパクトなディスクメディアであるDVDは、多量にコレクションする場合には省スペースとして大いに歓迎される。

一度DVDを利用したらビデオテープへ戻れない便利さはあるものの、すでに家庭にあるテープデッキを買い替えさせる動機には、なかなか苦しいのが本音だろう。

メーカーはテレビへDVDプレーヤーを組み込んだり、セットトップボックスへゲーム機などと合わせて組み込むなどの工夫も必要かもしれない。

だが、DVDが映画鑑賞用のメディアだけでない利用を、多くの事例で証明していくのがこれからの時代だ。

業務用ビデオは不況の影響をもろに受ける制作分野だけに、予算削減の中で、新たな器材投資が難しい環境ではあるが、逆に大きな効果が期待できる分野でもある。

コンピュータへDVD-ROMが標準搭載されるようになってから、有効なストレージメディアとしての見方は納得のいく売れ行きで証明している。

しかも、動画像メディアとしてパソコン上でDVDビデオを再生できる機能は、今後の映像メディアとしてDVDを制作、演出していくために大きなインパクトを持っていると思う。

職場では机の上にはパソコンがあるのがあたりまえの時代になってきた。

また、学校には今後も多くのパソコンが導入されていくのだから。

さらに、DVD対応ゲーム機は、今後ますます増え続けることだろう。

すでに博物館やショールームなどの情報展示ではレーザーディスクとコンピュータのシステムをDVDがリプレースをかけている。

ここで、DVDビデオコンテンツの方向と、可能性を考えてみよう。コンテンツ制作(演出)がDVDの能力に追いつかないのは、制作環境が普及しない過渡期の悩みともいえるだろう。

 


DVDコンテンツの種類(例)

映画、テレビ番組などのような時間軸が完成した映像作品

すでに大手の映画関係のプロダクションはDVDに対する高品質エンコードと、多量の字幕や、吹き替えなど映画に必要な機能を充実したオーサリング環境はほぼ初期導入済みだ。

今後の映画コンテンツを個人にパッケージ販売する主力になっていくことだろう。

さらにパッケージ型のビデオ商品はDVDへ移行していくのが時代の流れとなるはずだ。

 

メニューを活用したビデオなどの映像集

従来の業務用ビデオとして重要であった会社案内や商品プロモーションなどは、映像を利用する方法を考えると、最もDVDがふさわしいと思える市場だ。

コンパクトでポータブルな移動可能な販売促進、書籍などに添付する広告映像など、出版の方法も大きく変わる可能性を持っている。

教材やマニュアルなどの映像化もDVDならではの手法が生み出されていくに違いない。

イベントの記録も必要なシーンを瞬時に選び出せるDVDは、結婚式などビデオ記録を従来行なっていた市場の標準納品形態になるに違いない。

 

情報展示に利用されるインターラクティブな映像表示ソース

タッチパネルを押すとビデオを再生して情報を提供するようなシステムは、従来ではレーザーディスクをコンピュータでコントロールすることで実現していた。

このシステムは1枚焼きのレーザーディスクが高価なことと、ディスクのアドレスを呼び出すためオーダーでのコンピュータソフト制作、そして常設施設でのコンピュータ稼働環境の保守は大変な作業だ。

これからはDVDだけでシステムが稼動できるようになる。

これは大きなコストダウンだ。

 


DVDを構成する素材

DVDビデオを制作する上で必要な構成要素を確認しておこう。

(1)ビデオ映像

テープ素材からのエンコードしたMPEG2

コンピュータデータからのトランスコードしたMPEG2

まず要素として重要なビデオを用意します。ビデオテープで完パケされたものから、DVDのために編集される素材もある。

利用するためにはMPEG2のフォーマットへ変換する必要があります。また、同じMPEG2でも、ベータカムSXや、ノンリニア編集でMPEG2を利用した高品質映像などはDVDの転送レートをオーバーしてしまうので、規格に合わせトランスコードする必要があるのだ。

MPEG2エンコードの方法にCBR(コンスタントビットレート)とVBR(バリアブルビットレート)がある。

これは圧縮された画像データ量と画質に大きく影響する。

同じ時間軸上の映像を、音声が途切れること無く切替えることができるマルチアングル機能を利用するための映像などもすべてMPEG2にしておく必要がある。

 

(2)メニューなどで利用する静止画像

パソコン上で保存されるBMP、PICTなどの画像データ

実際にDVDへ取り込まれる際にはフォーマットを自動的に変換してくれる。最近ではフォトショップのレイヤーをメニュー作成に利用するタイプのオーサリングソフトもある。

 

(3)選択できる複数のテロップ

パソコン上で保存されるTextデータ

文字情報だが、イメージデータとしてDVDで利用される。

 

(4)オーディオ

PCMオーディオ

MPEGオーディオ

ドルビーAC-3ステレオ

ドルビーサラウンド音声

92kHzを超える高品質なDVDオーディオ

高品質なオーディオはDVDの魅力の一つだ。複数CH利用できる音声トラックは、映画の吹き替えのようにマルチリンガルに利用したり、視聴対象に応じた説明に切り替えたりすることができる。

 

(5)コンピュータで利用するためのデータストレージ

パソコン上で保存されるすべてのデータ、アプリケーション

ハイブリットボリュームとしてWindowsだけでなく、Macintoshでも利用できるパソコンデータの配布メディアとしても混在して兼用することがでる。もちろんDVDビデオは同じ物を通常のテレビ専用機からも利用できるわけだ。

 


一段落した専用システム

作業目的に特化した機能を提供するソフトも登場してきた。

映画を中心としたスタートしたDVD市場の制作環境も業務用映像のニーズを満たすシステムに変化を始めている。これからが本番といえよう。以下に業務利用を意識した新製品を3種類紹介しよう。


 

ソニック・ソリューションズ社 DVD Fusionを発表。

同社のDVD Creatorはハリウッドの映画業界で多くのシュアを持つシステムだが、より広いビデオ業務用システムとしてDVD Fusionを新しいラインナップに加えた。

マッキントッシュで稼動するDVD制作環境としてノンリニア編集環境を更に意識したトランスコーダーを搭載。

Avid社Media Composer、Xpressや、Media100社のMedia100などで編集したQuickTimeなどのファイルをMPEG2ビデオへソフトでデジタル変換する機能を提供する。

また、DVD Fusionでは、ソフトでトランスコードを行なう前記モデルに加えて、ハードでトランスコードするモデル、さらにアナログまたはデジタルテープからリアルタイムでMPEG2にエンコードするハードを搭載したモデルも製品ラインアップに加わる。

ハードトランスコーダーは、ソフトトランスコーダーに比べて、映像トランスコードのスピードが約5倍ほど上昇する。

Sonicは映画、高品質映像向けの「DVD Creator」とコンシューマー向けの「DVDit」の中間に、業務用ビデオ市場向けの商品「DVD Fusion」を位置付けることにより、DVDマーケットのローエンドからハイエンドのすべてのマーケットセグメントでのシェア獲得を狙うようだ。


 

アスタルテ社 DVDirectorを発売開始。

DVD-Rの書き込みでは業界標準ともいえるADAPTEC TOASTDVDを開発した同社が、ソフトエンコードのDVDオーサリングパッケージとハードエンコードを含むDVDirector Proのオールインワンパッケージを発売した。

特徴は以下ように絶妙なバランスを有している。

マッキントッシュで稼動するDVD制作環境

メニュー作成は、アドビ・フォトショップのレイヤーをそのまま利用できる

字幕作成の専用ツール「Subtitle Editor」が付属

オーサリング画面は「階層表示」「マトリックス表示」「アイコン表示」の3種類が好みで使用できる。

オーサリング中でもリアルタイムでリンク状態やスクリプトのシュミレーションが外部NTSCモニターでプレビューできる。

当初から映画などのハイエンドではなく、マルチメディアCD-ROM制作者などが業務用のDVD制作を行なうことを想定して開発されている。

スクリプトの設定は基本的なDVDの知識や、パソコンソフトの開発に興味のある人には理解しやすいだろう。

 


ミネルバ社Impression for DVD 1.0の試用レポート

オールインワンのシステムではなく、ハードに依存しないソフトだけの製品も登場した。好みのエンコーダーなどとの組み合せが可能だ。

 

 

オーサリングに徹したソフトでの提供

NT上で稼動する完全にオーサリング機能に徹したソフトのみで提供。

同製品のバンドルではMPEG2ノンリニア編集システム「ピナクルシステムズ社DVD1000」が、すでに発表されている。

 

タイムラインを利用したユーザーインターフェース

フローチャート方式のインターフェースではなく、ビデオ編集の感覚で行なえるタイムライン上にクリップを配置する方式を採用している。

これは、企画制作の現場で台本を書く際に、コンピュータソフトのようなフローに不慣れなビデオ制作者には歓迎されるだろう。

従来どおりの時間軸の台本にリンク先を指定するような方法で表現が可能だ。

ムービーファイルは、タイムラインへそのままドラッグ&ドロップすることで登録される。

DVDビデオのNEXTやPREVのリンクは、この順番に依存する。

QuickTimeやAVIファイルなどのダーミームービーを利用してプレビューできるオーサリング環境は珍しい。

残念ながらデータを変換する機能はないので、あくまでシュミレーションのみの利用だ。

実際の制作作業ではデーターのトランスコードや、ビデオのエンコードは別のシステムで行なう必要がある。

 

メニューボタン作成では、アドビ・フォトショップのレイヤーをそのまま利用できる

所定の拡張子をレイヤー名に付加することで、簡単にメニュー画面を作成できる。

720×480で作成したバックグラウンドへ、任意のボタンを作成しレイヤーを変えて配置する。

フォトショップフォーマットのドキュメントをそのままドラッグ&ドロップすることで登録できる。

 

スクリプト作業から開放されたボタンリンク

分岐を必要とする場面では、タイムライン上へメニュー画面を配置する。

メニュー画面のボタンとビデオクリップとのリンクはメニュー画面を表示させた時に右クリックすると、ボタン部分が反転してリンク映像を受け付ける状態になる。

ここへタイムラインからビデオクリップをドラッグ&ドロップすることでリンク完成だ。

ボタンのカレント順位は自動的に設定される。

 

リアルタイムシュミレーション

リンクを確認する作業はイメージファイルにする必要はなく、その場でシュミレーションが実行できる。

オーサリングのプレビューはあくまでもリンクモーションだけと割り切った方がいいだろう。

映像品質や音質は、すでに完成された素材が利用されることを前提としているからだ。

映像はコンピュータ画面でのオーバーレイ表示のみなので、別途NTSCモニターを必要としない。逆に言うと外部で表示することはできない。これは好みの別れるところだろう。

 

操作の簡単さは特筆。

ノンリニア編集の経験者なら、直ぐにDVDタイトルを、マウス操作で実にあっけなく制作できるだろう。

ダミーデータを置き換えたらDVD-Rや、DLTデータの書き出しが行なえる。

ただし、DVDのすべての機能をオーサリングできるわけではないので、凝りたい場合は確認が必要だ。


 

取材協力

ソニック・ソリューションズ社 DVD Fusion

ソニック・ソリューションズ東京事務所 03-5439-7171

 

アスタルテ社 DVDirector

株式会社ソフトウェア・トゥー 03-5676-2177

 

ミネルバ社Impression for DVD

丸紅ソリューション株式会社情報システム事業部 03-5778-8931

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このブログ記事について

このページは、DreamCraft Staffが1999年9月 9日 00:18に書いたブログ記事です。

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